【リポート】トークセッション「国交正常化60年とこれからの日韓交流」
12月23日、日韓国交正常化60周年記念事業として、トークセッション「国交正常化60年とこれからの日韓交流」を東京都内で開催しました。

この行事は、日頃、日韓間の各種交流団体で活動している学生や、当基金大学生訪韓団OBOG等の日本の若者、また韓国から来日した「韓国ニューリーダー訪日団」団員の大学生32名に、国交正常化以降60年間の日韓関係を踏まえ、今後の両国間交流について議論していただくことを目的に企画したものです。
行事の冒頭では、今回の会場である「国際文化会館」で特別顧問を務める朴喆熙(パク・チョルヒ)前駐日韓国大使が、会場に参加した若者たちに「将来の日韓関係を担う皆さんに期待する」旨の応援のメッセージを送ってくださいました。

第1部では、日韓関係に長く携わられ、駐韓国大使も務められた国際交流基金顧問の小倉和夫さんより、若者たちが両国の未来を考えるにあたっての歴史を知ることの重要性や、押さえるべきポイントなどについて、実例をあげつつご講演いただきました。

また、共に韓国・高麗大学に在学中の田邉瞳衣さんと伊藤晃輝さんは、日韓関係にまつわる自身の留学生としての体験や思いを、関連するエピソードを交えて発表してくださいました。


第2部では、早稲田大学教授の金敬黙(キム・ギョンムク)さんがモデレーターを務めてくださり、会場に参加した日韓の若者たち約60名が、両国関係の課題や交流活動の目指すべき方向性等について語り合いました。
冒頭、金教授は、田邉瞳衣さんからの「日韓ラグビー交流」についての発表に言及しつつ、「日韓関係における『ノーサイド』は、どこに見出すべきだろうか」と参加者一同に問いかけました。
その後も金教授は、「皆さんがこれまでにも体験してきたであろう交流事業における『出会い』と、『その後数か月間のSNS上でのやり取り』で終わってしまう、交流の限界を克服するには?」「両国民の心を動かす感動的なエピソードは、スポーツ選手等の有名人によってしか作り出されないのか?皆さん自身、あるいは周囲にそのような題材は存在しないのか?」といったサジェスチョンを続けざまに示され、これに対し参加者たちからは、二度にわたる日韓合同の小グループ(7~8人)に分かれての議論(それぞれ15分程度)も交えつつ、下記のような意見が述べられました。

・自分がこれまで参加してきた日韓の交流行事では、争いを避けるために、敏感な内容については触れないようにしてきた。しかし、真の理解のためにはこれらについての議論も必要。
・敏感な問題について議論するプログラムに参加し、課題を避けずに向き合うことの重要性を実感した。他方で、問題を意識しない方が関係はよくなるのではないか、という矛盾した考えもある。
・自身の韓国への留学をきっかけに、「嫌韓」だった家族が次第に韓国について理解を示し、関心も持つようになった。
・日本人の友人をソウル市内で案内した際、歴史をめぐっての微妙な感情のすれ違いを感じた。
・戦前に韓国で生まれ育った祖父が80年ぶりに韓国を訪れ、かつて暮らした家の現在の住人(1940年代に日本で生まれた方)と語り合いながら共に涙する場に立ち会った。国を超えた「人同士の歴史」を実感した。
・情熱をもって交流を進めている自分たちの活動を広く知ってもらうことが、敏感な問題についても率直な意見の交換を可能とする雰囲気を作り出すことになり、ひいては両国関係の安定につながるのではないか。
セッションの終盤、金教授からは、歴史を国と国の間だけでなく、「家族、個人の関係におとし込んで眺めてみる、そしてその体験を周囲と共有する」ことの重要性が指摘されました。そのような作業を通じ、「国と国との間の風通しを良くする」ことで、「たとえけんかをしても対話を続けることのできる関係」をデザインしていくことが、「日韓間の『ノーサイド』につながるのではないか」と整理が示され、2時間半に及ぶ議論は幕を下ろしました。
その後、日韓の若者たちは夕食を共にしながら引き続き語り合い、親交を深めました。
日韓文化交流基金では、今回のような日韓の若者たちの真剣な「対話の場」を引き続き提供していきたいと考えています。
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