日韓国交正常化60周年記念シンポジウム「朝鮮通信使という『智恵』」開催報告
5月31日、日韓国交正常化60周年記念事業 シンポジウム「朝鮮通信使という『智恵』」を都内で開催しました。
会場とオンラインを合わせて163名が参加し、石破茂内閣総理大臣からもメッセージが寄せられました。
第1部では近世の日朝関係のシンボル的存在である朝鮮通信使に関して、4人の研究者がそれぞれの専門の立場から発表を行いました。
まず吉田光男氏(東京大学名誉教授・放送大学名誉教授)は、「朝鮮王朝の政治システムと通信使」と題する発表を行い、同時に本シンポジウム全体への問題提起を行いました。
続いて、田代和生氏(慶應義塾大学名誉教授)が「朝鮮通信使と対馬藩の役割」について、石田徹氏(島根県立大学教授)が「朝鮮通信使と訳官使―2つの使節と対馬藩」について、木村拓氏(中央大学教授)が「朝鮮通信使の称号に込められた意味」について発表を行いました。
第2部では、4人の研究者がそれぞれの発表内容について意見の交換を行ったほか、会場、またオンラインでの参加者との間で質疑応答を行いました。その例をいくつかご紹介します。
質問:
かつて対馬藩が果たしていた日韓をつなぐような役割を、現代において誰が果たすべきか?
回答(田代氏):
国際関係というとかつては欧米中心の見方が主流だったが、今はアジアに目が向けられるようになってきた。まず我々一人一人が相手を知るということが重要ではないか。
質問:
朝鮮通信使の『智恵』を現代の外交関係に当てはめるとどのようなことになるだろうか?
回答(吉田氏):
歴史をそのまま現代に当てはめることは難しいが、異文化を異文化として受け止め、相手を理解しようとすることが大事なのではないか。
3時間半にわたるシンポジウムへの参加を通じ、多くの方々が朝鮮通信使の新たな一面についてヒントを得られたようです。